傍流雑記帳

「本流」をはずれたら、気づいたことがたくさんあった。

「こどもの城」が「都民の城」になるらしいー今だから語る「嘘つき厚労省」と「児童育成協会」

東京近郊にお住まいの方の中には、青山にあった「こどもの城」を覚えている方も多いのではないでしょうか。

大型児童館施設として人気があり、青山劇場、青山円形劇場という2つの劇場を併設していることでも有名でしたが、多くの専門家による子育て支援や、児童厚生員の指導を行う「児童館の総本山」としての役割も果たしていました。

 

厚労省所管の国立施設で、公益財団法人の「児童育成協会」が運営にあたっていたのですが、実はこの団体、私の元勤務先だったのでした。

 

「こどもの城」は、老朽化等を理由に2015年に惜しまれつつも閉館となったのですが、取り壊される気配がないため、「どうなるのかなあ」と思っていたら、東京都が買い取って「都民の城(仮称)」となるらしいという話を聞きました。

「もう、ボロくて使えないから閉めたんじゃなかったけ?」とつっこみたくなりましたが、とりあえず、来年はオリンピック関連で活用し、その後は、子供の遊び場や創業支援施設などを設置するそうです。

 

実際のところ、「こどもの城」が閉館に至った経緯は、厚労省の「公式発表」とはずいぶん異なるものでした。

きっかけは、民主党政権下で行われた「事業仕分け」で予算のあり方を批判されたことです。

開館以来、協会理事長のポストは、厚労省の「天下り指定席」なっており、そういった意味で目をつけられた面もあったため、急遽、民間から理事長を迎えることになったのですが、厚労省の役人にしてみれば、自分たちにメリットがなくなった施設を頑張って維持するモチベーションはもうありません。

その結果、予算が大幅に削減され、最終的には閉館するということになりました。

  

もっとも、閉館が決まった後も数億円を投じて、外壁の補修やレストランの改築を行うなど、現場から見れば、「もったいないなあ」と思うようなこともありました。

私たち協会職員は、国の施設を預かって運営するという立場なので、そういうことに口出しはできませんでしたが、わざわざコストがかかる工法を採用するなど、なんとなく「大人の事情」を感じさせられる出来事でした。

 

さて、厚労省天下りの理事長が追放された後、最初に民間から理事長に就任したK元理事長は、経団連出身の温厚な方だったのですが、トヨタ自動車出身のF副理事長にいびり出されてしまいました。その後、このF氏が理事長におさまったのですが、これが「吠える老害」といった感じの人で、特に管理職だった職員などは、ずいぶんひどい目にあったものです。 

「こどもの城」閉館後も、ほとんどの職員を解雇して細々と存続していた、この「児童育成協会」ですが、最近、またニュースになりましたね。

いつの間にか、内閣府の企業主導型保育事業の資金管理や助成金申請の審査という、おいしい商売を始めていたようで、その審査がすごくいい加減だったため、悪徳企業の水増し申請を見逃して多額の助成金を騙し取られたとのこと。

F氏がまだ理事長を勤めており、「これまで真摯に審査してきた」と胸を張ってコメントしていたそうですが、この人の言うことを真に受けるわけにはいきません。

同協会に仕事をさせた経緯や、責任の所在を明らかにすべきだと思います。