傍流雑記帳

「本流」をはずれたら、気づいたことがたくさんあった。

この時期、あえて韓国に行ってみた! -釜山で会った人たちー

反日の国(?)に上陸

最近は、マスコミの嫌韓報道が凄まじいですが、福岡と韓国の釜山を結ぶ高速船が出ているという話を聞き、韓国の人達の対日感情はどんな感じか、船に乗って見に行ってみようと思い立ちました。

 

東京を出て、大阪、福岡に滞在したあと、博多港で釜山行きの高速船「BEETLE」(運行:JR九州高速船株式会社)に乗船です。

料金は、ネット購入で6900円ほど(燃料サーチャージ・港湾税別)。

時速70~80kmで航行するジェットフォイルで、午後の便だと対馬経由の4時間弱で釜山に到着です。

天気が悪くて残念でしたが、揺れも少なく、快適な航海でした。

乗客は少なく、対馬で乗ってきたのも韓国人の家族連れ4名だけで、昨今の日韓関係の冷え込みを感じさせます。

 

さて、釜山のフェリーターミナルに着いてからは、タクシーでホテルへ。

運転手さんが日本語を話せたので、「どこで日本語を勉強したんですか。」と訊いてみたら、「日本人の釣り友達がたくさんいるからね。」とのこと。なかなか良いおじさんです。

もしかしたら、日本語を話したくて、フェリーターミナルに日本人客を拾いにきたのかもしれません。タクシーが少なく、だいぶ待ったので、助かりました。

 

宿泊は1泊約3000円の2つ星ホテルを予約していました。

路地裏の小さなホテルで、スタッフは日本語を話しませんが、とても親切。

日勤の男性スタッフは、わざわざフロントを閉めて、近所のおいしい飲食店を教えてくれたり、交通カードのチャージに付き合ってくれたりしました。

夜勤の女性とは、いろいろと世間話をしました。なんとなく話し方や身のこなしがアメリカ人ぽいと思ったら、留学していたそうです。頭の回転が早く、話していても楽しい人でした。

ちなみに、2人とも、私が日本人であることなど、まったく気にしていない様子でした。

 

ところで、このホテル、釜山一の繁華街の西面(ソミョン)から地下鉄で2駅ほど離れた凡一(ボミル)という街にあるのですが、そこは「釜山の新宿2丁目」とでも言うべきエリアなのでした。ゲイである私としては、夜遊びに出ないわけにはいきません。

 

釜山のゲイバーデビュー

1軒目は「T」というゲイバー。マッチョなママとチーママがいて、ちょっと拙い日本語で、「○○○欲しい~。○○○しゃぶらしたら、私、一番。オリンピック金メダル!」などとお下劣なジョークで笑かしてくれます。

隣が日本人客だったのですが、彼はこれまでの25年間で訪韓50回以上とのこと。 「韓国なくして自分の人生はなかった」とまで言い切っていました。最初はハングル文字に興味をもったのがきっかけだったそうですが、それだけ引きつけられる何かがあったのでしょう。

 

2軒目は、「N」というおしゃれなカウンターバーです。店の子が、英語も日本語も分からないようなので、どうしようかな、と思っていたら、隣の席にいた韓国人(30歳くらい?)が英語で話しかけてきました。

「どこから来たの?」

「日本から」

「へぇー、そうなんだ。ところで、いまの韓国と日本の関係はどう思う?」

いきなり直球です。 東南アジアとかでも、時々、韓国人に会うのですが、日本人とみると、すぐに政治・歴史ネタを振ってくる人って、一定の割合でいるような気がします。

 

こういうタイプの人って深入りすると面倒くさくなるので、「基本的には、政治の問題だから、個人的にはどうしようもないなあ。文大統領と安倍首相がリタイアしたら、状況が変わるんじゃないかな。ちなみに僕は安倍首相、支持していないからね。」って感じであしらうことに。

彼の英語がうまいので、ちょっとおだてて「どこで勉強したの?」って訊いたら、「大学でね。僕のはクイーンズイングリッシュだから。君も日本人にしては上手だね。この前、日本に行ったら、空港の英語のアナウンスがあんまりヘタなんで、笑っちゃったよ。」などと答えてから、グラスの脇に置いてある紙コップに痰を吐くのでした。

この紙コップ、ずっと気になっていたのですが、彼の痰壺だったんですね。

おしゃれなバーのカウンターなのに・・・。せっかくの「クイーンズイングリッシュ」が台無しです。

彼は、今回の旅行中に出会った唯一の「日本嫌い」でしたが、何度か痰を吐いてから、どこかへ行ってしまったので、私もチェックして次の店へ。

 

3軒目は「G」。先の2軒はネットで見て知っていたのですが、今回は知らない店です。でも、看板の店名に日本語で仮名を振っているので、親日ぽい感じです。

入ってみると、お客はおらず、年配のマスターが一人で店番。彼は日本語OKの人でした。発音は韓国語訛りが強いものの、語彙や文法はかなり的確です。日本が大好きで独学したとのことで、感心しました。

韓国映画の話を振ってみたのですが、「私は日本の映画しかみないので、よくわからないな」とのことで、日本映画の話でひとしきり盛り上がりました。

お客がいないのは心配ですが、なんとなくほっと出来る店でした。

 

今回は、3軒しか行けませんでしたが、もともと店の数はそれほど多くなく、通りも暗い感じです。韓国では、LGBTは違法でこそないものの、保守的な世論に加えて、兵役などの絡みもあって、あまりオープンに出来るような雰囲気ではなく、なにかと肩身が狭いようです。

 

韓国人も困惑している? 「BOYCOTT Japan」

韓国旅行で一番悩ませられるのは、たぶんハングル文字でしょう。言葉が分からない外国人にとって、英語の表記くらいはしてもらわないとお手上げです。

特に食事のときは、店選びにも苦労します。

そんなわけで、初日は、とりあえず分かりやすい「純日本風のラーメン店」に入ることにしました。

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西面のラーメン屋

この店は、メニューは全て日本語で、店員さん達の会話も(少なくても客の前では)日本語です。

でも、店頭には、しっかり「BOYCOTT Japan」のポスターが・・・。

「この店では、日本製の材料を使っていません。」という内容らしいですが、これだけ「日本」を前面に押し出しておいて、「材料だけは違う」とアピールするのもどうなんでしょう。

ちなみに、ラーメンはなかなか美味でしたが、しっかりピリ辛になっていたのが残念。地元のお客さんも結構入っていました。

 

 

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釜山駅構内のレストラン

このポスターは、釜山駅構内のレストランにあってあったもの。

「BOYCOTT Abe」と書いてありますが、よく見ると「Abe」の部分はシールで修正してありました。

おそらく、修正前は「Japan」になっていたけれど、街の玄関口とも言える釜山駅に「BOYCOTT Japan」があるというのはまずいということで、直したんだと思われます。

 

これらを見てみると、とりあえず「反日」の世論に調子を合わせなくてはいけないが、なんだか面倒くさいなあ、っていうようなノリが感じられます。

日本同様、同調圧力が強いお国柄で、なにかと大変そうですが、本当は、日本のラーメンは大好きだし、日本からの観光客が減るのは困るという人も多いのではないでしょか。

 

マスコミ報道はどんな感じ?

私も、もう年なので、歩き回ると疲れてしまい、ホテルやスパで、ボケ~とテレビを見ていることも多かったです。

あいにく韓国語はさっぱりわかりませんが、もっぱら法相候補チョ・グク氏の不正疑惑の話題ばかりで、日韓関係の報道はあまりされていないようでした。ちょうど、同氏の国会聴聞会が開かれるというタイミングもあり、テレビ報道もそれ一色という感じでした。

ただ、英語放送(現地のArirang TVというのがありました)に関しては、日韓関係のかなり詳しい解説がされていて、GSOMIA破棄に対するアメリカのネガティブな反応なども取り上げられていました。感情的な表現は見られず、わりと客観的な分析がなされていたと思います。もっとも、途中で “Peaceful Korean island, Dokdo” (独島=竹島ですね)なんていうプロモーションビデオが挿入されて、微妙な感じでしたが・・・。

 

 

ズバリと当たる!? 釜山の占い師

釜山市南部のチャガルチという街は、昔ながらの魚市場があったり、夜店が出たりと、なかなか楽しいエリアですが、その下には大きな地下街が伸びています。

そこで、「日本人大歓迎」という占い師が店を出していたので、面白そうだと思い、寄ってみました。四柱推命で料金は1万ウォンまたは1000円。もちろん日本語です。

観てもらうと、いきなり「あなたは、女に縁がないね。」と一言。お~、一発でゲイと見抜かれたかと一瞬びっくりしましたが、そういう意味ではなかったようです。

そして、「孤独な生活を送り、金銭的にもあまり恵まれないが、長生きはする」そうですが、それって、もしかして最悪の老後じゃないですか!?

 

それはともかく、占い師氏(60歳前後・男性)が言うには、「韓国人は、声が大きくてうるさいし、マナーも悪いからね。その点、日本人はいいよ。」とのこと。

私は「いや、日本にもマナーが悪い人は多いですよ。」と返したのですが、彼は「韓国の方が全然ダメだよ。」なんて言います。

その時、私は、ゲイバー「N」で会った、あの「痰吐き男」を一瞬思い出したりしたのですが、結局のところ、どこの国にも、「ちゃんとした人」と「そうじゃない人」はいるもので、「国民性」というものはあるにせよ、一人一人を見れば、「○○人だから○○である」というステレオタイプ的な見方は、ほとんど意味をなさないと思います。

 

嫌韓、もうやめませんか。

当初は4泊の予定だった釜山滞在ですが、思いのほか居心地が良かったので、結局、6泊もしてしまい、帰りは大韓航空の成田行きが13,800円で取れたので、飛行機で帰ってきました。国内並みの手軽さで海外に行けてしまうというのは、なかなか楽しいものです。

 

帰国後、意外だったのが、日本のテレビがワイドショーなどで、前出のチョ・グク氏の一件を大々的に取り上げていることです。

これは、完全に韓国の内政問題であり、日韓関係には直接関係ありません。(もっとも、これをきっかけに文政権が崩壊するようなことがあれば別ですが・・・)

マスコミは騒いでなんぼの商売ですから、当面は、韓国ネタならなんでもOKで、それを嫌韓で盛り上げておけば、数字も稼げてなお結構というスタンスなんでしょう。

  

外交上の対立は、政治家達のメンツや利害によるところが大きいですが、彼らにとっては、対立が深刻になればなるほど国内の諸問題から国民の目をそらすことが出来るというメリットがあります。

そういう意味では、日韓関係が悪くなった方が両国首脳にとって都合が良いということになります。

しかし、それは大きなツケとなって返ってくるのは間違いありません

 

個人レベルでの交流では、そういった政治的対立とは距離を置くべきでしょう。

私が釜山で見てきたように、韓国には日本が大好きな人がたくさんいるし、日本でも韓国が大好きな人や、頑張って生きている在日の人達がたくさんいるわけです。

 

マスコミも、そして私たち自身も、嫌韓はもういい加減にして、本来、私たちが考えなくてはならない国内問題にも目を向けるべきだと思います。