「非国民」ですが、なにか?
サッカーファンのみなさん、連日のワールドカップ観戦、お疲れさまです。
残念なことに、スポーツ音痴の私は、サッカーに全然興味がありません。
ルールもよく分からないので、ボールを蹴るだけのゲームに、なんでみんながあんなに熱狂できるのか、理解し難いというのが、正直な気持ちです。テレビもサッカーネタばかりで、つまらないし····。
不思議なのが、ふだん、あまりサッカーに興味がなさそうな人達も異様なハイテンションになっていることです。渋谷のスクランブル交差点で騒いだり、大阪の道頓堀川に飛び込むのが楽しみで、便乗しているのかな。
ところで、すごくびっくりしたのが、私のように「ワールドカップとか興味ないし、別に日本も応援しません」という人は、巷で「非国民」と言われているらしい、ということです。へぇ~、そうなんだ、という感じです。
そういえば、数年前にも、同じようなことがありました。東京オリンピック誘致のときです。
オリンピックを自分たちの街で見てみたい、とか、この機会にひと儲けできるぞ、という人達の気持ちも分からなくはないですが、「そんなこと、やってる場合ですか?」と思ったので、私は誘致に反対で、やっぱり「非国民」でした。
前回の東京オリンピック(1964年)の頃は、日本経済が急成長している時代で、不足していたインフラも、オリンピックをきっかけに劇的に整備されました。
首都高や新幹線、都内に整備された大通りやスポーツ施設などが、その後の東京、そして日本の発展に大きく寄与し、オリンピックが経済成長を加速したと言えます。
だけど、今の日本はどうでしょうか?
一般的にオリンピックは需要の先食い的なところがあるので、どこの開催国でもオリンピック後は景気が落ち込む傾向があります。
成長余力があれば、再び回復基調となりますが、2020年以降の日本は、高齢化と人口減、財政悪化がさらに深刻化し、グローバル化にも乗り遅れ、長期的な不況となる可能性が高いでしょう。
また、1960年代初頭に大急ぎで作った大量のインフラの老朽化に伴い、その改修コストも重くのしかかります。
そんな状況の中で、「オリンピック、キタ~!」と言って、今から新たなスポーツ施設を整備しても、そのあと、お年寄りばかりの世の中でいったい誰がそれを使うんでしょう?
私が住む東京中野区に平和の森公園というのがあります。
テレビなどでも紹介されたので、知っている人も多いと思いますが、ここでも、近隣住民の反対を押し切って中途半端なスポーツ施設を作る工事が進んでいます。オリンピックを盛り上げようということで、補助金も出るらしいです。(財源はもちろん税金ですよね)
工事を強行した当時の区長は先日の区長選で落選しましたが、公園で工事のために切り倒された数千本の木々は二度と戻ることはありません。
私はもともと、国や組織に対する帰属意識が弱く、「たまたま日本に生まれたけど、将来、ほかの国に住むのもおもしろいかなあ」なんて考えている人なので、「非国民」とか言われても全然平気です。
だけど、掛け声がかかると全員同じ方向を向かなきゃいけなくて、異端は認めないって、なんかイヤな社会だなって思います。
日本人のメンタリティって、もしかしたら戦前の軍国主義の時代から、あまり変わっていないのかもしれませんね。